10月27日(火)朝の、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」(略称「モーサテ」、番組の公式ページ)の文字起こしから、後半のコーナー「プロの眼」(ゲストはニッセイ基礎研究所の伊藤さゆりさん。テーマは「10月ECB理事会 『フランス売り』への対応は?」)を中心にまとめました。そのほかのゲストの話やニュースは、担当分野ごとに整理しています。
文字起こしの誤りは、文脈と、番組の公式ページ(「解説は〇〇氏」)で確認して直し、末尾の「補正メモ」にまとめました。確度の低いものは、違っているかもしれません。数字が乱れて読み取れないところは、断定せず、そう書いてあります。
📌 今日の要点
- プロの眼のテーマは、28〜29日のECB(欧州中央銀行)理事会。政策金利は据え置きがほぼ確実で、最大の焦点はフランス国債の売りへの対応です。ECBが「使ったことのない2つのツール」のうち、TPI(伝達保護措置)を使うのか、ラガルド総裁の発言に注目が集まる、と伊藤さんは話しました。
- 26日の米国株は3指数そろって反発。ダウは146ドル高の5万2,361ドル、ナスダックは214ポイント高の2万6,169、S&P500は53ポイント高の7,676でした。
- 材料は、AI企業アンソロピックが新規上場の目論見書を公表したこと。上半期の売上高は163億ドル(前年の約14倍)、最終損益は807億ドルの赤字(AIインフラへの先行投資が約350倍に)。約1,000億ドル(15兆円余り)を調達する見通しで、実現すれば6月に上場したスペースXを上回る、史上最大のIT企業の新規上場です。
- メタも、最大950億ドル(約15兆円)の資金調達計画を発表。AI向けの投資の勢いが続く、との見方から、エヌビディアなど半導体株が上がりました。
- 一方、野村の塩崎さんは、アンソロピック上場の「売り圧力」に注意と話しました。他の株を売って資金を用意する投資家が多く、指数に連動するファンドの売りも、年内に合計約260億ドルの見通しです。
- 日本では、GMOインターネットグループが、ハッカーから約80億円を要求されたと公表。個人情報の漏えいが相次ぎ、政府は「能動的サイバー防御」を視野に、来週にも緊急対策パッケージを取りまとめる考えです。
- きょう(27日)はイスラエルの総選挙。結果次第で、イランをめぐる中東情勢が動くかもしれません。
🔎 プロの眼:ECB理事会 「フランス売り」への対応は?(伊藤さゆりさん)
伊藤さんは、ニッセイ基礎研究所の方です(公式ページより)。
① 今回は「据え置き」がほぼ確実。理由は?
- ECBは、日米と同じく9月に利上げをしていて、その段階から、次の利上げは12月という見方が優勢でした。
- 直近のユーロ圏のインフレ(HICP)は、9月の総合が3.8%(と聞こえました。確度は中)。加速はしていますが、内訳を見ると、押し上げているのはほぼエネルギー価格です。モノの価格も少し上向いていて、エネルギーの間接的な影響が出ているとみられますが、食品は落ち着き、サービスも安定しています。
- 2022年7月からの利上げは、賃金と物価が互いに押し上げ合う「スパイラル」(内生的なインフレ)のリスクに対応するものでした。いまは、当時と比べて内生的なリスクは比較的小さい、というのが伊藤さんの見方です。
- 根拠の1つが労働市場。失業率と欠員率の関係を表す「ベバリッジ曲線」を見ると、2022年当時とは形が違い、労働市場が逼迫(ひっぱく)してはいません。
- ただし、エネルギー価格の上昇とユーロ安で外から来るインフレ圧力は強まっているので、それが内生的なインフレに変わらないか、注意は必要、としました。
② 最大の焦点は、フランスとドイツの金利差(スプレッド)の拡大
- 前回の理事会からの大きな変化は、フランス国債の利回りが上がり、安定しているドイツとの差が広がったこと。今回の理事会で、いちばん意見が割れるのは、この問題だろう、と見ています。
- 先週は、イタリアの国債の利回りも上振れました。フランスのデモが過激化し、イタリアなど欧州各地に広がったことで、来年に総選挙を控えるイタリアのリスクも意識されたのでは、という見方です。フランスの影響が、じわじわ周りの国に広がるリスクがあります。
- ECBの政策判断の枠組みの3本柱の1つが、「金融政策の伝達」です。国ごとに金利の差が開くと、同じ金融政策でも、ある国では引き締めの効果が強く出て、ドイツのような国では緩和が進む、つまり効き方が国によってバラバラ(非対称)になります。ECBとして対処しなければいけない問題で、動きにくい難しい局面、と話しました。
③ 「使ったことのない2つのツール」と、ラガルド総裁の発言
- フランス国債を買い支えるツールは2つあります。OMT(ユーロ危機のとき、ドラギ総裁の時代に作られた)と、TPI(ファンダメンタルズ=経済の実力では説明できない動きに対処する枠組み)です。どちらも、これまで一度も使われていません。
- OMTは、資金繰りに困って支援を求め、欧州安定メカニズム(ESM)のプログラムに参加した国が前提です。フランスは、国債の新規発行や借り換えが目の前に迫っているわけではないので、対象にならない。そこで注目されているのがTPIです。
- 木曜日の記者会見で、「TPIを使うのか」「フランスにどうするのか」という質問が相次ぐ見通し。伊藤さんの予想は、発動の条件や原則を繰り返し、個別の国についてはコメントしない。ただし、可能性は否定しない、というものです。
- なぜあいまいにするのか? 簡単に介入すると、「財政や政治のリスクを警戒する」という市場のシグナルを封じ込め、財政を直そうという圧力が弱まってしまうから。かといって全面的に否定すると、市場のリスクの再評価(国債売り)を加速させてしまう。どちらも難しいので、コミュニケーション能力が試される、と話しました。
- フランスの財政の問題は、大統領選挙を越える長期のテーマ。ECBは、コロナ対応やマイナス金利からの転換のときも、新しいツールを導入してきたので、新しい知恵を出してくる可能性もある、と締めくくりました。
📈 前半の市場のおさらい(26日の米国市場ほか)
米国市場の動き
- 週明けの米国株は、3指数そろって反発(ダウ 5万2,361ドル/ナスダック 2万6,169/S&P500 7,676)。ナスダックは一時1.4%高。業種別では、情報技術や資本財が上がり、通信や生活必需品が下がりました。
- ダウは終日プラスで、原油価格が下落に転じたことから、ナイキやキャタピラーなど、景気に敏感な株が上がりました。ただ、今週はアルファベットやマイクロソフトの決算、FOMCを控え、上値は限定的でした。AIの収益化や、企業の資金調達環境を見極めようという、様子見ムードです。
- 債券:10年債の利回りは約4.99%、2年債は約4.72%。商品:原油先物は3日ぶりに反落(一部の湾岸諸国の外相がイランを訪問し、仲介に動いたと伝わったため)。金先物は3日ぶりに反発。欧州株は3日ぶりに反発(10月のドイツの企業景況感指数が予想を上回った)。
- シカゴの日経平均先物は6万2,840円。大阪取引所の夜間取引は6万2,890円。
アンソロピックのIPOとメタの資金調達
- アンソロピック:上半期の売上高は163億ドルで、1年前の約14倍。一方、AIインフラの構築に向けた投資額が約350倍に膨らみ、最終損益は807億ドルの赤字。早ければ来月に上場し、約1,000億ドルを調達する見通し。幹事証券団には、みずほフィナンシャルグループと三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の証券会社が加わり、日本の投資家からも資金を調達するとみられます。
- メタ:最大950億ドル(約15兆円)の調達計画。普通株と優先株で350億ドル、先週の決算で明らかにしていた議決権のない新株の発行で600億ドル。エヌビディア、AMD、ブロードコムの3社が、合計50億ドル分の普通株を買う意向。メタは今年、最大1,450億ドルの設備投資を見込みます。
NY市場リポート①:アンソロピックIPOの株価への影響(野村グループ・塩崎遼大さん)
- 26日は、アンソロピックの目論見書の公表で、AIへの期待感が広がり、ハイテク株中心に上昇。ただ、注意したいこともあります。
- 売り圧力:調達額は約1,000億ドル。他の株を売って資金を用意する投資家も多いので、株式相場への売り圧力が強まるかもしれない。さらに、アンソロピックはナスダックに加え、ラッセルなどの指数にも早期に組み入れられる見込みで、指数に連動するパッシブファンドは、年内に合計約260億ドルの売りになる見通し。
- 業種の入れ替わり:過去1か月のS&P500では、原油高を背景にエネルギーが上昇し、生活必需品などのディフェンシブも堅調。一方、指数の大部分を占める大型テックを含む情報技術や通信は下落。AIへの見方が悪化するなかで、業種間のローテーションが進んでいました。
- 今週の決算で流れは変わるか:巨額の設備投資が示されれば、株式・債券市場の重しになりうる。設備投資に減速の兆しが見えれば、半導体などAIインフラ関連が売られる可能性も。需給面の影響が大きく、決算後にハイテク株が上がるハードルは高いものの、強いAIの収益力が示されれば、年末ラリーへの反発も期待できる、と話しました。
NY市場リポート②:原油高止まり、中東情勢の行方(塩崎さん)
- 中東情勢の緊迫によるガソリン価格の上昇が、有権者の不満につながっています。ロイターなどの調査で、トランプ大統領の支持率は31%と、1期目・2期目を通して最低水準(CBSの調査では39%と、読み上げの数字が乱れていたため、確度は中)。大統領は戦闘の沈静化を望む一方、原油価格の引き下げを優先して譲歩すれば、「アメリカの敗北」とみなされるリスクがあり、難しいかじ取りを強いられています。
- 先週、米国務省は、サウジアラビア駐在の外交官とその家族に退避命令を出しました。フーシ派の攻撃の被害を避けるためとも、米軍が軍事攻撃を行う予兆とも取れます。25日には、トランプ大統領が「合意か、攻撃の再開か、決断の時が近づいている」と述べました。ただ塩崎さんは、ガソリン価格がさらに上がり、共和党の支持率が下がるのを避けるため、中間選挙前に攻撃を行う可能性は低いと予想。戦闘の主力になる空母打撃群(ルーズベルト)の中東への到着も、11月末ごろの見通しです。
- 27日のイスラエル総選挙は、与野党の接戦。公共放送の世論調査では、野党がわずかにリードという見通しもあり、野党政権になれば、首相がイラン攻撃に参加するかは明確ではありません。一方、ネタニヤフ首相が続投なら、イスラエルも攻撃に積極的に参加すると想定され、今年2月のような軍事的緊張が再来し、世界的な株安などリスク回避の動きが広がる可能性がある、と注意を促しました。
米国の経済指標とインフレ(アセットマネジメントOne・酒井義隆さん)
- ダラス連銀の10月の製造業景況指数は、市場予想に反して3.6ポイント上昇の13.4。先行きの指数は17.3ポイント上昇の38.1。ただ、項目別では、新規受注が21ポイントの大幅な落ち込み、生産が14ポイント、雇用が3.5ポイントの低下でした。
- 酒井さんが注目したのは、インフレ圧力。原材料価格と最終製品の価格は、どちらも上昇傾向ですが、上がり方が強いのは原材料のほうで、製品価格への転嫁はやや遅れている。一方、賃金は上がっていないので、賃金と物価のスパイラルが起きる可能性は低い、と見ています。
- 今後は、企業の収益性が下がるのか、価格転嫁が進むのかが見極めのポイント。物価高につながれば、利上げのピッチが早まるなど、米国の金融政策にも影響する可能性がある、と話しました。
為替の見通し(三菱UFJ信託銀行・齊藤央充さん)
- 予想レンジは156円80銭〜157円80銭。市場センチメントはやや改善していますが、明日以降の各国の中央銀行イベントを控えて様子見で、ドル円はもみあいの見通しです。
- 今週は中央銀行イベントが目白押しですが、各国とも政策金利は据え置きが織り込み済み。一方、中東情勢の懸念は払拭できず、中間選挙後にイラン攻撃が再開する可能性も浮上していて、原油の上昇圧力が見込まれます。
- 日本も米国も、粘り強いインフレに対応するため、12月会合での0.25%の利上げが、7〜8割程度織り込まれている状態。ただ、インフレの動きを見ると、米国はPCEコア(物価の指標)の上昇がやや抑えられて一服感があるのに対し、日本は、コアCPIなどに上昇が続き、インフレ圧力が確認できる。日銀は、場合によっては米国を上回るペースで利上げを続ける可能性もある、と見ています。
- 投機筋(IMMの通貨先物)の円のポジションを見ても、円売りが増えていて、日銀の利上げ警戒が進んでいる可能性がある。来年の序盤にかけて円高方向に動く場面が増え、155円台割れも視野に入る、と話しました(円高方向の数字は、聞き取りが不確かです)。日本の10年国債の利回りは、前日2.780%でした。
日本株の見通し(アセットマネジメントOne・酒井義隆さん)
- 予想レンジは6万2,000円〜6万4,000円。26日の米国株の上昇を受けて、高く始まる展開を想定。きょう発表される決算は多くなく、個別決算が相場全体に与える影響は限定的、と見ています。
- 決算のスケジュール:TOPIXの構成銘柄で、今週は約300社、来週も約300社、再来週は約750社が決算を発表。
- 前の決算(4〜6月期)では、増益率が高かった銘柄の株価が、必ずしも上がりませんでした。業績が良かったのはAI関連銘柄で、その増益率は際立って高かった。ただ、7月下旬以降の決算では、増益は維持されたのに、株価の上昇は決算発表の時期だけで、その後はほぼ横ばい。背景は、AI関連が上がりすぎて利益確定が入りやすかったこと、そして、原油価格の再上昇と世界的な利上げムードによる長期金利の上昇で、成長株が売られやすい環境だったことです。
- 今回の決算では、企業が出す業績予想(見通し)が焦点で、あらためて増益の銘柄に注目が向かう、と考えています。
- 信越化学の決算(きょう発表):シリコンウエハーなどの電子材料と、米国の住宅の建材や配管に使う塩ビが主力。前回、営業利益の計画を7,000億円としたが、市場の期待に届かず、株価が下落した。電子材料は好調ですが、塩ビは競争が厳しく、米国の金利上昇で住宅ローン金利が上がるなかで、改善に時間がかかりそう。電子材料は工場がフル稼働のため、上振れがあるとすれば数量より価格。契約が切れたあとの新しい契約でどんな価格になるかが注目、と話しました。
📰 そのほかのニュース(抜粋)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| GMOインターネットグループ | FX向けサービスに不正アクセスを仕掛けたハッカーから、暗号資産で5,000万ドル(約80億円)を支払うよう要求された、と熊谷社長がブログで明らかにした。顧客情報の公開とランサムウェアによる攻撃を日本時間27日正午に行うと予告を受けていることも発表 |
| 相次ぐ個人情報の流出 | 楽天トラベルで最大260万件、ほかに最大623万件の顧客情報が漏えいした可能性(会社名は聞き取れず)。JR東海などJR3社でメールアドレスの流出。ギフティグループで、約5億5,000万円分のEギフトが不正に発行された |
| サイバー対策 | 政府が、サイバーセキュリティーに関する初の関係閣僚会議を開催。高市総理は、能動的サイバー防御(通信・金融・電力などの基幹インフラ事業者への攻撃の兆候を探知した場合に、警察などが攻撃側のサーバーに侵入して無害化する)を視野に対応する考えを示し、財政措置も含めた早急な対策を指示。来週にも緊急対策パッケージを取りまとめる |
| タイムズカーの会員情報流出 | 被害者側の弁護士が、運営会社などに1人あたり最大5万円の損害賠償を求める訴訟を、年内にも起こす方針。サイトの登録者は10万人を超えた。親会社のパーク24はコメントを差し控えている |
| ロシアで拘束された記者 | 外務省は、ロシア当局に拘束された北海道新聞の男性記者と、日本大使館の職員が初めて面会し、健康状態に問題がないことを確認したと発表。即時解放と人道的配慮を求めていく |
| 中国共産党の重要会議 | 中央委員会の全体会議が26日に開幕し、29日まで。党内の統治の問題を話し合う。汚職での幹部の処分が続くなか、引き締めを図るとともに、指導部の権力基盤を固める狙いがあるとみられる |
| スペースX | 26日、400億ドル(約6兆3,000億円)で、エヌビディアのGPU(画像処理半導体)のリース契約を結んだと発表。投資ファンドのアポロが運営する会社が、半導体と関連機器を購入してスペースXにリースする仕組みで、GPUの調達契約としては過去最大規模。1年未満での投資回収を見込む |
| マイクロソフト | AIの普及にあわせた組織の再構築の一環として、大規模な人員削減を検討。米国、カナダ、インド、英国の一部の部門が対象で、会社を辞めて社外でキャリアを築く場合は優遇措置を講じる、と報じられた(人数は聞き取りが乱れていて、確度が低いため、記載せず) |
| 中東 | 集団防衛の枠組みに参加する、サウジアラビア、トルコ、パキスタンの外相が、26日にイランの首都テヘランを訪問し、大統領と会談。サウジ外務省は、米国とイランの仲介を支援する目的としている |
| ブラジル | 25日の大統領選挙で、左派のルラ大統領が再選。26日のブラジル市場では主要株価指数が急落し、取引が一時停止された。通貨レアルも、ドルに対して一時およそ1.2%安(株価の下げ幅は、聞き取りが乱れていて、記載せず)。右派の勝利を見越した買いが先行していたため、投げ売りが膨らんだ |
| 福田康夫・元総理 | 福田元総理が22日、都内の病院で亡くなった。90歳(と読み上げられたが、年齢は聞き取りが不確か) |
| 今日の予定 | 日本:9月の企業向けサービス価格指数、信越化学などの決算。米国:10月の消費者信頼感指数、コカ・コーラやボーイングなどの決算 |
| 天気 | 西日本・東日本は天気が回復、北日本は下り坂。北海道は夜に雪が降るところも。東京の最高気温は22℃、名古屋は26℃。きのうは九州〜東北南部の広い範囲で雨が降り、1日で100ミリを超える大雨になったところもあった |
🗞 日経超特急・チャイナエコノミー
千代田区が「5年間の転売禁止」を要請(伊藤さゆりさんのコメント)
- 東京都千代田区が、マンション価格の高騰を抑えるため、三菱地所レジデンスなどが2030年に着工を計画する約200戸の分譲マンションに、引き渡し後5年間の転売禁止と、同一名義での複数戸の購入禁止を要請する、と日経電子版が報じました。千代田区は、築5年以内の転売率が23区で最も高く、投機目的の取引を抑え、子育て世代などの居住を後押ししたい考え。法令上の強制力はない「要請」ですが、個別の物件に踏み込んだ要請は異例で、財産権への配慮をめぐる議論も起きそうです。
- 伊藤さんは、住宅価格の上昇が社会問題になるのは先進国の都市部に共通と指摘。先週、フランス発のデモがヨーロッパ各地に広がりましたが、スペインやポルトガルのテーマは「住宅」でした。住宅価格が上がり、庶民が住めなくなっていて、背景には、移民、観光客の増加、ファンドによる買収で家賃が上がること、供給不足などがある、と話しました。
ペロブスカイト太陽電池に約1,000億円の補助
- 薄くて曲がり、軽い、日本発の次世代電池「ペロブスカイト」の量産に向け、政府がリコなどに約1,000億円を補助する、と報じられました(2029年度までに拠出。社名の一部は聞き取りが不確か)。企業側も、補助金と同じ額以上を投資します。主原料のヨウ素を国内で調達できる、経済安全保障上の強みもあります。
- 伊藤さんは、ビルの壁などにも設置でき、送電ロスも少ないので、都市に合った発電スタイルと評価。懸念は、コストが高いことと、寿命が短いことですが、コストは量産で、寿命は技術開発で、解決できるかもしれない、と話しました。
チャイナエコノミー:EV時代の主導権は「脱CATL・ファーウェイ依存」?(上海・山口さん)
- 車載電池最大手のCATLの1〜9月の決算は、売上高も純利益も増え、純利益は日本円で1兆円を超える規模(増減率の数字は、聞き取りが乱れていて、記載せず)。一方、8月までの中国の工業企業の利益は、自動車製造業が16%のマイナスでした。
- 背景には、巨大サプライヤーが先進技術を提供し、完成車メーカー(感染者メーカー、と聞こえたのは「完成車」の聞き間違い)がそれを組み合わせる、という分業があります。車種ごとの違いが出にくくなり、価格競争が激しくなって、完成車メーカーは収益の確保に追われています。
- CATLは世界のシェアの約4割。研究開発費は2020年度の約6倍(5,000億円超)。バッテリーは製造コストの約3分の1を占めるとされ、車が「CATLの車」と認識されて、完成車メーカーの存在がかすむ形になりかねない、という課題がありました。
- 動き:EVの理想汽車は、6月発売の新型車で、CATLではなく別の電池メーカーの製品を採用。材料や内部構造は自社が設計し、製造をその会社が担当。9月には、その会社の子会社の第2位の株主になる計画を発表。ただし、CATL排除ではなく、協力関係は維持する方針です。
- ファーウェイ:運転支援システムを搭載した車は、5つのブランド(と放送)で、累計搭載台数は200万台を超える。そのうちセレスは、今年、協業のあり方を見直し、商品企画、設定、販売、サービスをセレスが主導する形に。販売店との契約も、ファーウェイ側からセレス側に変わりました。
- 一方で、巨大サプライヤー同士は手を組む動きも。19日、CATLとファーウェイの自動車技術の子会社などが、新たな協業を発表(運転支援で、車が自動でCATLの電池交換ステーションに入って、交換を済ませる仕組みを目指す)。
- CATLの7〜9月期の純利益は、売上の伸びに比べて小さく、市場予想を下回りました。背景の1つが、中国政府によるリチウム電池への課税強化(消費税の段階的な引き上げ、輸出時の税金還付率の廃止)。CATLは、ナトリウムイオン電池など、新しい電池の開発も進めています。
- 日本勢への影響:トヨタがインドネシアでCATLと協力するなど、中国の巨大サプライヤーは、強力な相手であると同時に、競争する中国メーカーを支える存在でもあります。中国の技術を海外で活用しながら、同じ技術を使う中国勢との競争に勝つ、という難しさがあります。
🧭 今日の学びの整理(子どもに伝えるなら)
- 「助ける」と「甘やかす」のバランス:中央銀行が国債を買い支えると、すぐに市場は落ち着くけれど、「財政を直そう」という圧力も弱まる。だからECBは「使うかも、使わないかも」とあいまいにする。助け方にも、タイミングと言い方がある。
- 数字の裏にある「わけ」を見る:インフレ率が上がっても、エネルギーのせいなのか、賃金が上がっているせいなのかで、対策が変わる。
- お金の集め方にも、限りがある:アンソロピックは、売上が14倍になっても、先行投資で大赤字。そして、上場で大金を集めると、他の株が売られるかもしれない。お金は、どこかから出てきて、どこかに影響する。
- 便利なものほど、守りが大事:サイバー攻撃で情報が漏れる事件が続いている。パスワードの使い回しをしない、怪しいメールを開かない、といった身近な対策は、家庭でも役に立つ。
※この記事は、番組の内容を、自分の言葉でまとめたものです。数字や人名は、文字起こしからの推測を含みます。投資の助言ではありません。

