毎朝の経済ニュース番組の文字起こしと、放送画面(図表)から、後半のコーナー「プロの眼」(テーマは「長引く中東情勢の悪化、有事の金の行方」)を中心にまとめました。ゲストは、マーケット・リスク・アドバイザリー(MRA)の新村直弘さんです(番組の公式ページで確認)。文字起こしには聞き取りの誤りが多いため、文脈から推測して直し、記事の最後に「補正メモ」として一覧にしています。違っている可能性のある箇所は、その旨を書きました。
📌 今日の要点
- 金の価格は、「実質金利で説明できる部分」と、それ以外の「リスクプレミアム」に分けて考える。
- 中東情勢などでリスクプレミアムは上がりやすいが、米長期金利の上昇(実質金利の上昇)が、金の価格を押し下げる力になっている。
- 投資家の動きは割れている。先物市場では売り(短期筋)、現物ETFでは買い(長期の資産形成)。
- 見通しは、当面4,000〜4,500ドルのレンジ。材料は、CPI、FOMC、米中間選挙(5,000ドル配布の話)。
🔎 プロの眼:有事の金の行方
① 金は今どうなっているか
ここのところ、かなり調整は進んでおり、やや弱めの動きです。ただ、水準そのものは、まだ高いという印象だと、ゲストは話しました。
② 金の価格を決める2つの要因
ゲストの会社では、金の価格を次のように分けて考えているそうです。
- 基準価格:実質金利(米国債の利回りからインフレ率を引いたもの)で説明できる部分
- リスクプレミアム:それ以外の部分(戦争や地政学リスクの上乗せ)
グラフで見ると、リスクプレミアムは、2022年のウクライナ・ロシアの戦争以降、ずっと大きくなっています。一方で、FRBが去年の9月に利上げに踏み切って以降は、米国債の利回りが上がり、実質金利の上昇を通じて、基準価格が下がる方向に働いています。金は利子のつかない資産なので、金利が上がると、利子のつく資産に資金が移りやすくなる、という説明でした。

有事の買いというより、金利による押し下げの力の方が、今は効いている。
③ 投資家は金を手放しているのか
先物市場と現物のETFに分けて見ると、動きは割れています。
| 先物(CFTCのポジション) | 現物ETF | |
|---|---|---|
| ポジション | 減っている(売り) | 増えている(買い) |
| 背景 | レバレッジを使う取引。金利が上がると調達コストが上がり、ポジションを閉じる圧力が強まる | 現物が担保で、現物投資に近い。長期の資産形成のために買われている |

つまり、「短期で、金利の上昇に合わせて調整している人」と、「長期の資産形成のために、今を買いの機会と見ている人」に分かれている、ということです。
④ 米長期金利が上がった背景(3つ)
債券の専門ではない、と断ったうえで、ゲストは次の3つを挙げました。
- 中東情勢の悪化によるインフレ懸念と、それに伴う金融引き締めの見方(画面の図では「インフレ懸念と金融引き締め観測」)
- AI関連企業(ハイパースケーラー)による、記録的な社債の発行。債券の需給が悪化し、国債の利回りを押し上げている(画面の図では「債券需給の悪化」)
- 財政不安。戦費の拡大や、米中間選挙に向けた5,000ドルの給付金の発言などで、財政が悪化するのではという見方が出ている

このうち、1と2は、実質金利の上昇を通じて、金の価格を押し下げます。3の財政不安は、安全資産への需要を通じて、金を押し上げます。ただし、米国債の市場は大きく、代わりになる市場が他にないため、ドル離れが急に進む局面ではない、との見方でした。
⑤ 中東情勢が落ち着けば、金は持ち直すか
「場合分けが必要」というのが、ゲストの答えでした。
| 停戦した場合 | 金への影響 |
|---|---|
| 押し上げ | 原油が下がり、利上げ観測が後退して株が上がる。近年は株と一緒に金も買われやすいため、金も上がる |
| 押し下げ | 戦争のリスクプレミアムが縮む。インフレ率が下がると、実質金利が上がり、基準価格が下がる |
また、財政不安で長期金利が高いままなら、「金は通貨として選ばれるか」が次のポイントになる、と指摘しました。画面には、「G20先進諸国の純債務の対GDP比率」(IMFのデータ)が、金価格と並べて示されていました。この比率は、段階的に上がってきています。財政状況が悪いままなら、ETFなどを通じて金に資金が入ってくるため、中長期では強気に見ている、という説明でした。

⑥ 今後の見通し
- 当面は4,000〜4,500ドルのレンジ。
- 材料は、CPI、FOMC、中間選挙の結果(5,000ドルを配るかどうか)で、変動性は高い。
- 高い水準は、しばらく維持されるとの見方。
- 4,000ドルを割り込むのは、ハイパースケーラーの社債発行が増え続け、長期金利が下がらない場合など。今のところは、リスクシナリオという位置づけ。
📈 前半のおさらい:市場の動き
| 項目 | 動き |
|---|---|
| NYダウ | 195ドル高の5万1,850ドル |
| ナスダック | 反落。120ポイント安の2万7,245 |
| S&P500 | 反落。7,807(下げ幅は文字起こしが崩れていて不明) |
| 為替 | ドル円は158円64〜65銭 |
| 債券市場 | コロンバスデーのため休場 |
| NY原油先物 | 3日続伸。ロシアのウクライナ攻撃や、サウジアラビアとフーシ派の戦闘激化への懸念で、約2%上昇 |
| 金先物 | 3日ぶりに反落 |
🎤 米国みずほ証券・内田さんの話:決算と旅行・レジャー銘柄
- デルタ航空の決算:売上高と調整後1株利益が、ともに市場予想を下回りました。2026年12月期通期の1株利益の見通しも、引き下げました。燃料費は前年から60億ドル増える見込みです。
- それでも、決算当日の株価は、わずかに上昇。背景は、石油の精製所を保有していることと、プレミアム顧客層の開拓で、燃料高の影響が競合より限定的だったことです。CEOも、燃料高が続いても、プレミアム航空会社として収益力を保てるとの見方を示しました。
- ホテルやクルーズなどのレジャー関連銘柄は、堅調です。AI関連への資金集中で出遅れていましたが、AIへの不安が高まる局面で、「AIの影響を受けにくい投資先」として見直されています。
- 一方、AIが旅行サービスを代替するとの懸念から、オンライン旅行予約の企業(ブッキング・ホールディングスなど)は、逆風です。ただ、サービスそのものを提供する企業は、持ち直しています。
- 提供するサービスによって、見極めが重要で、分散投資の観点では、こうした銘柄の魅力が高まっている可能性がある、とのことでした。
📊 番組で使われた図と出典
放送画面に表示されていた図の「出所」です。画面に出所の表記がないものは、その旨を書いています。
| 図 | 画面に表示されていた出所 | 元のデータ(参考) |
|---|---|---|
| 金価格・金基準価格(2019年基準)・リスクプレミアム(2021〜26年) | CME、MRA | CME Group:金先物(価格)。基準価格とリスクプレミアムは、MRAによる推計です |
| 金ETF残高の変化と、CFTC投機筋ポジションの変化(8月末=0、2026年9〜10月) | CFTC、ブルームバーグ、MRA | CFTC:Commitments of Traders(建玉明細)。ETF残高はブルームバーグの有料データです |
| 金利上昇の背景(3つの要因) | 表示なし(番組の解説図) | ― |
| G20先進諸国の純債務の対GDP比率と、金価格(2022〜26年) | IMF、CME | IMF:Fiscal Monitor(財政モニター) |
図の数値は、番組の画面の目視で読み取ったもので、正確な値ではありません。(例:金ETF残高は、8月末から約60トン増、CFTC投機筋ポジションは約75トン減)
📝 文字起こしの補正メモ
音声の文字起こしには、聞き間違いが多く含まれていました。文脈から推測して、次のように直しています。確度が「中」「低」のものは、違っているかもしれません。
| 文字起こし | 直した表記 | 確度 | 理由・注記 |
|---|---|---|---|
| ダウワーの家族進 | ダウ平均は…(195ドル高) | 中 | 数字の前後の文脈から |
| S&P500も反落4。ポイントマイナス | 下げ幅は不明(数字が崩れている) | 低 | 桁が分からないため、記載していません |
| 米国水尾証券の内田さん | 米国みずほ証券の内田さん | 高 | 社名の聞き間違い |
| 7月期決算 | 7〜9月期決算 | 高 | 「今週から本格化」という文脈から |
| ets 1株利益 | 調整後1株利益(EPS) | 高 | |
| 石油の生成所 | 石油の精製所 | 高 | |
| 江戸バスティアンCO | エド・バスティアンCEO | 高 | デルタ航空のCEO |
| 売れた航空 | デルタ航空 | 高 | |
| 年代株価 | 年初来の株価 | 中 | 「出遅れが続いていた」という文脈から |
| AI体制のある投資先 | AIの影響を受けにくい(AI耐性のある)投資先 | 中 | |
| 原油価格の上昇1分を交換されて | 原油価格の上昇一服が好感されて | 中 | |
| AIミズがえサービスを代替する | AIが旅行サービスを代替する | 低 | 聞き取りが崩れており、意味から推測 |
| ドル山…64選から6。5選 | ドル円は158円64〜65銭 | 中 | |
| 債権市場、球場 | 債券市場、休場 | 高 | |
| 風支派 | フーシ派 | 高 | |
| ゲスト三浦さん/新村さん/…村さん | 新村直弘さん(マーケット・リスク・アドバイザリー) | 高 | 番組の公式ページの記事(「解説はマーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘氏」)で確認。文字起こしの「三浦」「…村」は聞き間違い |
| FRBが去年の9月…宮城に踏み切った | FRBが去年の9月に利上げに踏み切った | 低 | 「宮城に」は聞き取れず。後の発言に「利上げが始まった9月」とあるため、利上げと推測。利下げの可能性もあります |
| 線否拡大 | 戦費拡大 | 高 | 画面の図「金利上昇の背景」の3番に「戦費拡大 給付金発言など」と表示されていました |
| G20の先進、諸国の準3位… | G20先進諸国の純債務の対GDP比率 | 高 | 画面のグラフのタイトルから。出所はIMFと表示されていました |
| コロンバスデー | 10月12日(月)の米国の祝日 | 高 | この日のNY市場の報告と推測されます |
※この記事は、番組の内容を、自分の言葉でまとめたものです。数字や固有名詞は、文字起こしからの推測を含みます。投資の助言ではありません。
