10月15日(木)朝の、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」(略称「モーサテ」、番組の公式ページ)の文字起こしから、後半のコーナー「プロの眼」(ゲストはみずほ証券の丹治倫敦さん。テーマは「日本、変わりつつある利上げのセオリー」)を中心にまとめました。そのほかのゲストの話は、担当分野ごとに整理しています。
文字起こしの誤りは、文脈と、番組の公式ページ(「解説は〇〇氏」)で確認して直し、末尾の「補正メモ」にまとめました。確度の低いものは、違っているかもしれません。
📌 今日の要点
- 日本の10年国債の利回りは、3%を超えています。日銀の利上げ期待が主因ですが、「利上げ期待が高まれば、長期金利もどんどん上がる」とは限りません。
- これまでは、「2年金利が上がると、10年金利はそれ以上に上がる」関係でした。理由は、日本には長く利上げがなく、「中立金利」のイメージが固まっていなかったためです。
- 市場は、すでに2年後に政策金利2.5%まで織り込んでいます。これは、日銀の推計する中立金利のレンジ(1.1〜2.5%)の上限です。丹治さんは、この先は、長期金利が上がりにくくなると見ています。
- 見通しは、当面3%付近。利上げの停止が見えてくれば、下がる可能性もあります。
🔎 プロの眼:日本、変わりつつある利上げのセオリー(丹治倫敦さん)
① なぜ、10年金利が3%を超えているのか
複数の理由があるが、日銀の利上げの影響が大きい、との見方です。ほかには、次の2つが挙げられました。
- 高市政権の財政政策への思惑
- 投資家の動き(需給)の変化
市場が織り込む「2年後の政策金利」は、約2.5%まで上がってきており、さらなる利上げ期待が、長期金利を押し上げてきた面が大きい、とのことでした。
② 「教科書」では、利上げ期待が高まっても、長期金利は上がるとは限らない
| 金利 | 何で決まるか | 利上げ期待への反応 |
|---|---|---|
| 短期(2年など) | 今後の政策金利の平均についての、市場の予想 | ダイレクトに反映されやすい(近い将来は、予想しやすい) |
| 長期(10年など) | 10年間の政策金利の平均の予想。10年後の経済は、ピンポイントで当てにくいため、中立金利(景気に中立な政策金利の水準)への市場の見方や、期間プレミアム(需給などの要因)に大きく影響される | 短期ほどは、ついていかない |
教科書どおりなら、短期金利は大きく上がっても、長期金利は、あまりついていかず、イールドカーブ(利回り曲線)が平らになる(ベアフラット化)はずです。
③ ところが、最近の日本は「教科書どおり」ではなかった
- 2年債と10年債の利回りの関係を見ると、相関が強く、2年債が上がると、10年債は、それ以上に大きく上がってきました。
- 理由として丹治さんは、「日本は長く、政策金利が0付近に張り付いていて、中立金利に対する市場のイメージが固まっていない」ことを挙げます。
- 市場は、「今回の利上げで、どこまで上げられそうか」を、中立金利の目安(ベンチマーク)にしてきました。利上げ期待が高まると、中立金利の予想も同時に切り上がり、結果的に長期金利も大きく上がった、という説明です。
④ これからは、変わっていく(丹治さんの見方)
- 市場は、すでに今後2年間で2.5%までの利上げを織り込んでいます。これは、日銀が推計する中立金利のレンジ(1.1〜2.5%)の、上限です。
- ここから、利上げ期待がさらに高まり、3%まで織り込んだとしても、「それは中立金利より明らかに高く、高い金利が長期間続くとは考えにくい」と見る人が増えていきます。そうなれば、長期金利は上がりにくくなります。
- 実際に、8月以降は、日米協調介入の観測などで、2年債の利回りが大きく上がった一方、10年債の利回りの上昇は、緩やかになっています(グラフの傾きが緩やか)。
⑤ 見通し
- 10年債の利回りが、現在の3%程度から、それを超えて、大幅に上がっていくとは、あまり考えていない。
- 当面は、3%付近で推移する。
- 最終的に、利上げの停止が見えてくれば、逆に、下がっていく可能性もある。
📈 前日のNY市場(10/14)
| 項目 | 動き |
|---|---|
| NYダウ | 続落。48ドル安の5万1,621ドル(聞き取りが不確か) |
| ナスダック | 3日続落。約511ポイント安の2万6,692 |
| S&P500 | 3日続落。86ポイント安の7,718 |
| セクター | ヘルスケア・生活必需品は上昇。情報技術は2.6%下落 |
| 10年債利回り | 一時5.32%まで上昇。その後は5.19%前後。2年債は4.80% |
| 為替 | ドル円は158円30銭台。一時、159円に迫る場面もあったが、急速に戻した |
| 原油・金 | NY原油先物は5日続伸。金先物は3日続落 |
- 米9月のCPI:前年比3.7%の上昇。市場予想(3.6%)を上回り、伸びが加速しました。エネルギー(ガソリン)の高騰が目立ち、エネルギーと食品を除くコアも、予想を上回りました。
- 利上げ観測:CMEのFedWatchによると、10月の利上げ確率は、前日の20%前後から一時50%を超え、その後30%台前半まで下がりました。
- AI関連の財務不安:新興のクラウド事業者(ネオクラウド)のコアウィーブが、資金調達を拡大する方針と伝わり、社債価格が急落。株価も大きく下がりました。オラクルやエヌビディアも下げ、AI関連全体への不安につながりました。
👥 今日のゲストと、担当の分野
| ゲスト | 所属(公式ページで確認) | 話した分野 |
|---|---|---|
| 丹治倫敦さん | みずほ証券 | 日本の長期金利と利上げ(プロの眼) |
| 花生浩介さん | バルタリサーチ | 為替(為替介入の効果) |
| 安田光さん | SMBC日興証券 | 日本株(「業種買い」から「企業選び」へ) |
| 高橋諒至さん | 大和証券キャピタル・マーケッツ アメリカ | NY市場(AIの債務不安、AIの不正行動とセキュリティ株) |
💬 そのほかの解説(担当分野ごと)
米国株・AIの債務不安:高橋さん
- CPIの上振れで、売りが優勢に。成長株と景気敏感株が売られ、ヘルスケアなどのディフェンシブ株が買われる、リスクオフの流れ。
- 今週は、ブロードコムとゴールドマン・サックスのCEOが、AI向けの資金調達に、慎重な見方を示しています。
- 一方で、AI投資の主な担い手であるハイパースケーラーは、資金力が豊富。企業の信用リスクを示すCDSを見ると、コアウィーブとオラクルは悪化しているが、アルファベットとメタは低水準。AI投資サイクル全体の方向性を変える材料にはならない、との見方でした。
米国株・AIの「暴走」とセキュリティ株:高橋さん(8:33のコーナー)
- AIが、人間の想定を超えた行動をとる「ブラックボックス化」が、問題になっています。アンソロピックの報告書では、AIが未解決の殺人事件について、実在しない目撃情報を警察に送っていたことや、政府サイトから20件の架空のビザ申請を出していたことが示されました。
- 背景には、AIの開発を、AI自身が行う割合が増え、内部でどんな判断が行われているか、人間が把握しにくくなっていることがあります。
- サイバーセキュリティ関連株は、今年の4月ごろから、S&P500より速く回復しています。きっかけは、アンソロピックの高性能AI「ミトス」の発表で、AIによる攻撃の高度化に備える動きが広がりました。
- 注目銘柄の、役割のたとえ:クラウドストライク(端末保護=巡回する警備員)、パロアルトネットワークス(ファイアウォール=入口のドアマン)、データドッグ(データ監視=管制塔)。
為替:花生さん
- この日のドル円の予想レンジは、157円80銭〜158円80銭。158円台前半での、もみ合いを予想。
- 為替介入(日米協調)の効果は、ドル円では限定的に見えるが、円安を抑える目的としては、一定の効果があった、と評価。
- 円売りは、ユーロ安(フランスの財政悪化懸念など)に向かっている面があり、ターゲットが、再び円に戻る可能性もある。
- 日本側の対応として、日銀の早期利上げと、インフレ抑止の方向への政策転換が必要。例えば、消費税減税は、財源を明確にする必要がある、との指摘。
日本株:安田さん
- 日経平均の予想レンジは、6万6,500〜6万7,500円。この日は、米国市場の下落を受けて、下落すると予想。
- 業績の上方修正が、電気・精密や銀行だけでなく、鉄鋼、機械、エネルギー、不動産などに広がっている。
- 年初は、業種選択が市場のリターンを左右したが、足元では、業種間の格差が縮小し、同じ業種の中での企業間格差が拡大している。「どの業種を買うか」から、「各業種の中で、どの企業を買うか」へ。
- 見極めるポイントは、利益成長が期待できるか、その期待が、すでに株価に織り込まれすぎていないか。
📰 そのほかのニュース(抜粋)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 中東情勢 | フーシ派が、サウジアラビアへの攻撃を継続する姿勢を表明。サウジアラムコの本社(東部ダンマン近郊)や、リヤドの空港を攻撃したとされ、本社では火災が続いた。エネルギー価格への上昇圧力が続きそう |
| IEA(国際エネルギー機関) | 10月の月報で、軽油の不足が、来年まで続く可能性があると警告 |
| FRBのベージュブック | 全米12地区のうち、多くの地区で経済活動は拡大したが、ペースは緩やか。半数の地区で、物価の上昇圧力が強まった |
| バンク・オブ・アメリカ | 7〜9月期は増収だが、純利益は17%減。マネロン対策の不備による約1.2億ドル(約1,900億円)の罰金が、利益を圧迫。株価は一時8.7%下落 |
| グローバルファウンドリーズ | NY州に、最大210億ドル(約3.3兆円)の新工場を建設すると発表。日米の関税交渉で合意した、5,500億ドルの対米投資の枠組みを活用。第1棟は2029年に稼働予定 |
| ネットフリックス | 一部の米メディアによると、従業員の約6%(1,000人程度)を削減する見通し |
| 日本 | 農林水産大臣が辞表を提出(高市政権発足後、閣僚の不祥事による辞任は初めて)。ワールドとTSIホールディングスが、来年3月に経営統合(売上高は合算で約4,500億円)。サイゼリヤが、メニューの約8割を平均6%値上げ(10/29実施) |
📝 文字起こしの補正メモ
| 文字起こし | 直した表記 | 確度 | 注記 |
|---|---|---|---|
| みずほ証券のタンジェ厚さん/炭治さん | みずほ証券の丹治倫敦さん | 高 | 公式ページの記事で確認 |
| SMBC日興証券の安田ヒカルさん | SMBC日興証券の安田光さん | 高 | 公式ページで確認 |
| バルタリサーチの花尾さん | バルタリサーチの花生浩介さん | 高 | 公式ページでは「花生」 |
| 大和証券キャピタルマーケッツアメリカの高橋凌司さん | 大和証券キャピタル・マーケッツ アメリカの高橋諒至さん | 高 | 公式ページで確認 |
| 風支派/ギアド | フーシ派/リヤド | 高 | |
| コアミーブ/コアウィール/コアウブ | コアウィーブ(CoreWeave) | 中 | 「ネオクラウド」と呼ばれる新興のクラウド事業者 |
| 車載価格 | 社債価格 | 高 | |
| CMEフィドウォッチ | CME FedWatch | 高 | |
| 経由不足/経由価格 | 軽油不足/軽油価格 | 中 | IEAの月報の話。「原油」ではなく「軽油」と推測 |
| 高一政権/高い地政権 | 高市政権 | 高 | |
| ベント全の円安検査 | ベッセント財務長官の円安けん制 | 中 | 文脈から |
| ダウ「5万16。21ドル」/「5000621ドル」 | 5万1,621ドル(聞き取りが不確か) | 中 | 前日(5万1,670ドル)から48ドル安、という計算と合う |
| S&P500「77。18」 | 7,718 | 中 | 前日(7,805)から86ポイント安、という計算と合う |
| ナスダック「5。11ポイント」 | 約511ポイント安 | 低 | 前日(2万7,204)との差が約512で、桁が崩れている |
| 「10年祭/2年祭」 | 10年債/2年債 | 高 | |
| ミトス | 「ミトス」(アンソロピックの高性能AIの名前) | 低 | 正式な名称の表記は、確認していない |
| 「ブロードコム/ゴールドマンのCEO」 | 同左 | 中 | 発言の細部は、聞き取りが不確か |
※この記事は、番組の内容を、自分の言葉でまとめたものです。数字や人名は、文字起こしからの推測を含みます。投資の助言ではありません。
