10月14日(水)朝の経済ニュース番組、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」(略称「モーサテ」、番組の公式ページ)の文字起こしから、後半のコーナー「プロの眼」(ゲストは野村総合研究所の木内登英さん。テーマは「アメリカ中間選挙後の経済政策と金融市場」)を中心にまとめました。そのほかのゲストの話は、担当分野ごとに整理しています。
文字起こしの誤りは、文脈から推測して直し、末尾の「補正メモ」にまとめました。確度の低いものは、違っているかもしれません。
📌 今日の要点
- 11月3日の米中間選挙まで、あと3週間。木内さんは、民主党が上下両院で過半数を取るシナリオを、いちばん高い確率(約55%)と見ています。
- 選挙結果で、財政政策・FRBの人事・AI規制の3つが、大きく変わり得ます。
- 市場への影響は、株は共和党の両院維持が最良、債券とドルは民主党が両院を取る場合が良い、という整理でした。
- ただし、すでに織り込まれた結果より、予想外の結果の方が、市場は大きく動きます。
🔎 プロの眼:アメリカ中間選挙後の経済政策と金融市場(木内登英さん)
① 現在の議席と、選挙の傾向
- 現在は、与党の共和党が、僅差で上下両院の過半数を握っています。
- 中間選挙は、一般に与党に不利です。1978〜2022年の平均で、与党は、下院で約21議席、上院で約3議席を失っています。
- 足元では、トランプ大統領の支持率が低下しており、共和党には、いっそうの逆風と見ています。
② 選挙結果のシナリオ(木内さん個人の見方)
| シナリオ | 内容 | 確率の見方 |
|---|---|---|
| A | 民主党が、上下両院で過半数を獲得 | 約55%(最も高い) |
| B | 民主党が、下院だけで過半数を獲得 | 約25%(聞き取りが不確か) |
| C | 共和党が、上下両院の過半数を維持 | 低い |
| D | 民主党が、上院だけで過半数を獲得 | 低い(最も低い、との発言あり) |
下院は党派ごとの支持率が反映されやすく、上院は候補者の個別の事情が影響しやすい、という説明でした。
③ 経済政策で注目する3つのポイント
- 財政政策:共和党は、追加の減税、物価対策の給付、移民対策の予算などを目指しており、支出が増える「大きな政府」の方向です。短期的には成長率を高めますが、財政を悪化させやすくなります。
- FRB(金融政策)の人事:パウエル前議長の理事としての任期は2028年1月ですが、もっと早く辞める可能性もあります。後任に、トランプ大統領が積極緩和派を指名すれば、FRBへの政治介入が強まります。債券やドルの下落要因になります。民主党が上院の過半数を取れば、そうした人事を阻めるため、FRBの独立性が維持されやすくなります。
- AI関連の政策:州レベルでは、民主党主導で、AIの規制が進んでいます。一方、トランプ政権はAIの推進派で、連邦の法律で、州の規制を抑え込もうとしています。民主党が議会(特に下院)の過半数を握れば、その動きは抑えられます。
④ 金融市場への影響
| 資産 | いちばん良いシナリオ | 理由 |
|---|---|---|
| 株価(短期) | C:共和党が両院を維持 | 減税や給付などの積極財政が維持され、経済も株価も押し上げられる。AIも推進される。ただし長期では、財政リスクとFRBへの政治介入のリスクが高まる |
| 債券 | A:民主党が上下両院を制する | 財政拡張に歯止めがかかり、やや緊縮になるため、長期金利が下がり、債券の価格は上がる。ただし、経済の下振れ懸念とAI規制への懸念で、株には逆風 |
| 為替(ドル) | A(上下両院)、または民主党が上院を制するD | FRBの独立性が維持される。財政健全化に向かうなら、ドル高要因 |
⑤ 投資家は、どんな事態に備えるか
- シナリオAなら、ドル高・株安・債券高になりやすく、為替ヘッジをしない形での、米国債への投資が、良い結果になりやすい。
- ただし、シナリオAの確率を、市場がどこまで織り込んでいるかによります。予想外の結果の方が、市場は大きく動くため、共和党が両院を維持した場合の、予想外の大きな株高と、大きな債券安も、考えておく必要がある。
- ドル円は、短期的には、円安になりやすいと見ている(ほかの要因もあるため、あくまで中間選挙に限った見方)。
👥 今日のゲストと、担当の分野
| ゲスト | 所属(番組内の発言から) | 話した分野 |
|---|---|---|
| 木内登英さん | 野村総合研究所 | 米国経済・金融政策(CPI、FOMC、中間選挙)、中国経済、日本の為替政策への見方 |
| 植野大作さん | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 為替(ドル円、人民元、介入) |
| 林卓郎さん | 岩井コスモ証券 | 日本株の見通し(中間決算、業績の修正) |
| 河田大輔さん | 岡三証券(ニューヨーク) | 米国株、金融大手の決算、天然ガス発電の関連銘柄 |
| 宇田川さん | いちよし証券 | 中小型株(災害復旧と建機レンタルの銘柄) |
ゲストの氏名と所属は、番組の公式ページの記事(「解説は〇〇氏」)で確認しました。宇田川さんだけは、公式ページで照合できておらず、姓のみです。
💬 そのほかの解説(担当分野ごと)
為替:植野さん
- 中東情勢で、原油の供給不安が続けば、日本の貿易赤字の拡大懸念による円売り圧力と、有事のドル買い圧力が重なり、ドル円を押し上げるリスクがある。金融政策や介入では、コントロールできない要素。
- トランプ大統領は、中間選挙の前は、攻撃をしないと発言していた。逆に言えば、選挙後はやるかもしれない。そのため、中間選挙後のアメリカの動きに注目。
- 円売りの主因は、投機筋ではなく、実需や投資の資金の流れ(貿易のドル建て赤字、デジタル関連などのサービス赤字、個人の海外投資、企業の対外直接投資)で、すべてを介入で相殺するのは困難、との分析。(金額は、聞き取りが不確か。補正メモを参照)
- 日本政府は流動性の高い外貨資産を150兆円以上持つ。1ドル160円前後の攻防が続くかもしれない。介入をやめれば、165円ほどまで進む可能性も。
- 中国は、消費者物価の伸びが0〜1%前後で、デフレの手前。貿易黒字は過去最高を更新する勢いで、人民元高が進む可能性がある(1ドル=6.69元台)。
米国経済:木内さん(朝のコメント)
- 9月の米CPIは、総合が前月(3.4%)を上回る見通し。エネルギーを除くコアは、8月の2.4%からあまり変わらない見通し。
- コアが予想外に大きく振れない限り、10月のFOMCでは、利上げ見送りの可能性は、揺らがない。
- FRB内部では、AI(半導体の価格、データセンター建設ブーム、人件費)が物価に与える影響への関心が高い。持続的と見れば、年内、または来年も、利上げが続く見方になる可能性。
- 前日の市場では、中東情勢とAI半導体の不安が重なり、円安・株安・債券高に。リスクオフの流れで、どこかの時点で、大幅な株安・債券高に動く可能性を指摘。
日本株:林さん
- 日経平均先物は6万8100円前後。この日の予想レンジは、6万7500〜6万8500円。
- 年末のラリーを占ううえで、10月下旬からの中間決算で、業績の上方修正の期待が高まるかが焦点。
- 予想の修正企業数の比率(ディビジョンインデックス)は、過去22年間の最高値を更新。例年、10月下旬〜11月上旬は、上方修正銘柄の株価が強く、その傾向は年明けまで続く。
米国株・決算:河田大輔さん
- 13日(米)は、半導体製造装置のアプライドマテリアルズが、投資家向け説明会で具体的な見通しを示さず、大きく下落。半導体株が相場の重しに。
- 金融大手の決算:ゴールドマン・サックスは総収入が23%、純利益が29%増。JPモルガンは増収増益だが、1株利益が予想を下回った。シティは前年のメキシコ事業売却に絡む費用の反動に注意。ウェルズ・ファーゴは純金利収入が予想を下回った。
- AI導入は進み、4行のうち3行で人員数が前年比で減少。JPモルガンは、現時点で利益への目に見える貢献はないと説明。
- 電力不足が続く米国では、AIデータセンター向けに、天然ガス発電が注目。米国産の天然ガスは、前年比で2.8%の小幅な上昇にとどまり、在庫にも余裕がある。課題は、ガスを運ぶパイプラインの整備で、キンダー・モルガン、ウィリアムズ、エナジー・トランスファーなどのパイプライン大手に注目。
中小型株:宇田川さん(深読みリサーチ)
- AI・半導体中心の相場から、TOPIX全体へ物色が広がり、中小型株の出遅れ解消が期待される。
- 注目セクターは、建機レンタル。度重なる災害で、復旧の必要性が高まっている(1時間50ミリ以上の雨の発生回数が増加)。
📰 そのほかのニュース(抜粋)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 米株式市場(13日) | ダウは4日ぶりに反落し、180ドル安の5万1,670ドル。ナスダックは続落し、41ポイント安の2万7,204。S&P500は、ほぼ横ばいの7,805 |
| 金利・商品 | 米10年債利回りは5.2%台(一時5.1%台)。NY原油先物は4日続伸。金先物は続落 |
| 中東情勢 | フーシ派が、サウジアラビアが首都サヌアの石油施設を攻撃したと発表。サウジの首都リヤドの空港も、フーシ派に攻撃され、14人が死亡 |
| 日銀 | 9月の企業物価指数は、前年比で6.8%上昇。4か月ぶりに7%を下回った |
| NTT | 米アンソロピック向けのデータセンターを、大阪府に建設する方向。建設費は最大1兆円、受電容量は最大500MW。2028年にも一部稼働 |
| PayPay証券 | 外部接続先のシステム障害で、日本株とETFの全銘柄の取引を停止(サイバー攻撃ではない) |
📝 文字起こしの補正メモ
| 文字起こし | 直した表記 | 確度 | 注記 |
|---|---|---|---|
| 野村総合研究所の窮地高秀さん/木内さん | 野村総合研究所の木内登英さん | 高 | 「窮地高秀」は「きうち たかひで」の聞き間違い。公式ページで確認 |
| 三菱やモルガンスタンベン証券の上野大作さん | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作さん | 高 | 公式ページで確認(「植野」) |
| 祝いコスモ証券の林さん | 岩井コスモ証券の林卓郎さん | 高 | 公式ページで確認 |
| 一押し証券の宇田川さん | いちよし証券の宇田川さん | 中 | |
| 岡三証券の川田大輔さん/川田さん | 岡三証券の河田大輔さん | 高 | 公式ページでは「河田」。文字起こしの「川田」は聞き間違い |
| ダウは4日ぶりに反落180ドル安…ナサック | ダウは4日ぶり反落、180ドル安。ナスダック | 高 | |
| 債権市場/債権高 | 債券市場/債券高 | 高 | |
| 風支派/風車 | フーシ派 | 高 | |
| 浄化病院/乗員/会員/解院 | 上下両院/上院/下院 | 中 | 文脈から。文字起こしでは「上院」と「下院」の区別が崩れている |
| シナリオB「2。5%」 | 約25% | 低 | 桁が崩れている |
| パウエル全議長/パウエル前議長 | パウエル前議長(理事としての任期は2028年1月) | 低 | 任期の年は、聞き取りが不確か |
| 高橋さん/高い鳥さん | 日米首脳会談後に、円の過小評価に言及した首相(高市首相の可能性) | 低 | 氏名は、記載せず |
| 為替介入の累計額 | 約50兆円(聞き取り) | 低 | 「過去5年分の防衛予算の合計を8兆円以上上回る」という説明 |
| 貿易17兆円/サービス3兆円/個人11兆円/企業15兆円 | 同左(ドル建て貿易赤字/デジタルなどのサービス赤字/個人の海外投資/企業の対外直接投資) | 中 | 数字は、聞き取りのまま |
| アプライドマテリアルズ「6。.7%」 | 約6.7%下落 | 中 | マイクロン・テクノロジーは3.6%下落 |
| ヘンリーハブ価格 2027年「3.1。6% 16ドル」 | 約3.16ドル(今年の3.48ドルから低下の予想) | 低 |
※この記事は、番組の内容を、自分の言葉でまとめたものです。数字や人名は、文字起こしからの推測を含みます。投資の助言ではありません。
