【モーサテ早読み】12月利上げへの中間チェック(門間一夫さん)/ドル円の歴史

10月30日(金)朝の、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」(略称「モーサテ」、番組の公式ページ)の文字起こしから、後半のコーナー「プロの眼」(ゲストはみずほ総合研究所の門間一夫さん。テーマは「12月利上げへの中間チェック」)を中心にまとめました。そのほかのゲストの話やニュースは、分野ごとに整理しています。

文字起こしの誤りは、文脈と、番組の公式ページ(「解説は〇〇氏」)で確認して直してあります。

📌 今日の要点

  • 日銀は30日までの金融政策決定会合で、利上げを見送る見通しです。門間さんは、この会合を「12月利上げに向けた中間チェック」と位置づけています。9月の利上げは「局面が変わった」という説明だったので、12月までに想定外のことが起きていないかを確かめる会合、という見方です。
  • 日銀が示すとみられる判断は、物価は2%の目標とおおむね整合的(目標が達成されたに近い)ということ。これは12月の利上げを後押しする方向です。
  • 29日の米国株は、ダウ、ナスダック、S&P500とも4日ぶりに反落。ダウは132ドル安の5万2,342ドルでした。アルファベットの決算(広告収入が予想を下回り、フリーキャッシュフローの赤字が拡大)で、AIの収益化への懸念が再び強まりました。
  • 米国の7〜9月期の実質GDP(速報)は、年率で3.4%のプラス。個人消費(3.8%増)と、AI向けのデータセンターなどの設備投資(12.7%増)が支えました。
  • ECB(欧州中央銀行)は政策金利を据え置き、ラガルド総裁が来年2月に任期を前倒しして退任すると発表しました。
  • 番組後半の特集で、ドル円の歴史(明治の「1ドル=1円」から、今の157円台まで)と、アメリカの牛肉高騰(パックンの眼)が取り上げられました。

🎯 プロの眼:12月利上げの中間チェック(門間一夫さん)

1. 今日の日銀会合は何を確かめるのか

  • 12月は、高い確率で利上げがあると門間さんは予想しています。9月の利上げは、上田総裁が「局面が変化した」と説明したもので、その場限りではない、という位置づけだからです。
  • だから今日は、経済と物価の見通し、そのリスクバランスを点検し、12月に向けて想定外のことが起きていないかを確認する会合になります。

2. 展望レポート(経済と物価の見通し)

  • 経済: 7月の数字とあまり変わらないが、足元の実質成長率が年率1.4%と堅調だったため、2026年度は少し上方修正される可能性があります。
  • 物価: こちらも大きくは変わらないが、原油価格の想定が前回より高止まりする前提になるので、その影響が2027年度を中心に出る可能性が高いとの見方です。
  • リスクバランス: 物価の上振れ(上ぶれ)リスクのほうが大きい、という判断は変わらない見込み。ただし、2028年度まで見通すと2%に戻ってくる形で、物価が2%に「アンカー(固定)」されているという判断が示されるだろう、と話しました。
  • つまり、「3か月に1回くらいは利上げするが、毎回しなければならないほどのインフレではない」という判断になる、という整理です。

3. 身の回りの値上がりは、物価全体では?

  • 生活実感では物価が加速しているように見えます。たとえば消費者物価の中の消耗品(ポリ袋、ティッシュ、洗剤など)は、9月に前年比12.4%上昇。中東情勢の影響が消費者物価に波及しています。
  • 教養娯楽の耐久財(タブレット端末、テレビなど)も、夏前までのマイナスから、プラスに転じて拡大。世界的なAI関連の動きで電子部品が上がっていることと、円安が背景だと話しました。
  • ただし、こうしたモノ(財)の値上がりは、日銀が前から想定していた動き。一方で、お米の下落で食料は比較的落ち着き、サービス価格は1.5%と、2%を下回っています。全体として、物価の上振れが急に高まっている感じではない、というのが門間さんの見方です。

4. 今日の注目点(3つ)

  1. 金融環境の判断: 日銀はこれまで「金融環境は緩和的」と判断してきました。世界的なAI関連の調整や、フランス国債の問題で、海外の金融環境が少し怪しくなっていることを、日銀がどのくらい気にしているかが焦点です。気にしすぎていると、12月に利上げしにくくなります。
  2. 「2%目標」の表現: これまでは「2%に近づいている」でした。今日は一段上げて、「おおむね整合的」(ほぼ達成)という判断が示されるだろう、と話しました。2%目標は2013年に導入されたもので、当時は「2年で達成」と宣言していたので、13年9か月かかって、いよいよ達成の記念日になる、とのことです。
  3. 反対票の数: 「今日利上げすべきだ」と主張する審議委員が何人出るか。これまでは2〜3人でした。日銀の中での利上げに向けた機運(温度感)を知る手がかりになります。

※ 門間さんの話は、日銀の会合の前の予想です。結果は、このあとの会見で確認が必要です。

🌐 そのほかのゲストの見方

為替の見通し(野村証券・後藤祐二朗さん)

  • 予想レンジは157円ちょうど〜159円ちょうど。ドル円は158円前後でもみ合いが続いています。日銀会合は据え置き予想が大勢で、焦点は来週火曜日の米中間選挙。今日はレンジ相場が続きやすい、という見方でした。
  • トランプ政権の支持率は軟調で、オンラインの予想サイトでは、下院で共和党が過半数を維持する確率は10%前後、上院も30%台前半まで低下。議会とホワイトハウスで「ねじれ」が生じるという見方が優勢です。
  • ねじれが生じた場合は、財政面で景気を押し上げる政策が期待しにくくなり、AI関連の規制への警戒も米景気の重しになりうる。結果的にFRBの追加利上げの必要性が下がり、米国の金利に上昇圧力がかかりにくくなる可能性がある、と話しました。
  • 過去の動きを見ると、世界的な金利のピークアウトの前後で、円安圧力もピークアウトしやすい傾向があります。米10年債の利回りは、9月のCPI直後に5.3%まで上がり、足元は5%前後。金利のピークアウト感が強まれば、日本の債券の魅力が相対的に増し、円が見直されやすくなる可能性がある、という整理です。

株価の見通し(DZHフィナンシャルリサーチ・東野幸利さん)

  • 予想レンジは6万3,400〜6万4,500円。アメリカ株の下落に加え、アマゾンやインテルの時間外の下落が逆風になる、とみています。
  • 強気相場には、売買代金の増加が必要という話。直近の戻り高値(10月6日の7万683円)から約9,000円の調整をしたあと、25日線や75日線が6万6,000円あたりで重なり、戻りの節目になっています。
  • プライム市場の売買代金(5日平均)は、6月のピークから減少傾向。今年の価格帯別の売買代金を見ると、6万4,000〜6万8,000円には大きな売買の山があり、戻り売りの圧力を超えるには売買代金の増加が欠かせない、という説明でした。
  • 今日は、上田総裁の会見、東京エレクトロンやキオクシアの決算も予定されています。

🗽 NY市場リポート(第一ライフグループ・上野有輝さん)

米国債の「買い手」の変化

  • かつて米国債の大口の長期投資家だった外国政府や中央銀行、年金基金の存在感が低下し、短期の収益を狙うヘッジファンドの存在感が高まっています。FRBによると、ヘッジファンドの米国債の保有額は、市場全体の1割弱で、近年急速に拡大。
  • ヘッジファンドは、米国債を買い、同時に米国債先物を売る「ベーシス取引」で、わずかな価格差から利益を得ています。大量の借り入れによる高いレバレッジが特徴です。
  • 平常時は、買い手として市場に流動性を与えます。しかし、市場が大きく動くとレバレッジの解消が一斉に進み、相場の変動を加速させる可能性があります。実際に、2020年のコロナショックでは市場が混乱し、FRBが介入する事態になりました。FRBやIMFは、金融システムの不安定化要因になりうると警鐘を鳴らしています。

アンソロピックのIPO

  • アンソロピックが、IPO(新規株式公開)に向けた目論見書を公表。11月中の上場を目指しており、推定の企業価値は1.5兆〜2兆ドルで、史上最大級になる可能性があります。
  • 2026年上期の売上高は約163億ドルで、前年同期の約1.4倍。6月期には営業利益が約10億ドルと、少なくとも現時点では収益化できていることが示されました。
  • 懸念は競争の激化です。メタや中国勢の無料の「オープン型」AIモデルの性能が上がり、「クローズ型」との差は、一部の調査では4か月程度まで縮まっているとのこと。価格競争になれば、収益性が悪化するリスクがあります。
  • 今後の注目点は、応募価格や売り出し株数などのIPOの条件と、修正版の目論見書です。

📺 前半のおさらい(29日の市場とニュース)

  • 29日の米国株: ダウは132ドル安(5万2,342ドル)、ナスダックは36.5ポイント安(2万6,184)、S&P500は23ポイント安(7,720)。アルファベットの株価は一時13.7%安で、上場以来最大の下落率とされました。マイクロソフトの設備投資が予想を下回ったこと、キャタピラーの業績見通しが期待に届かなかったことも、AIインフラ関連株の売りにつながりました。一方、メルクは4%近く上昇、イーライリリーも好決算で、ヘルスケアが買われました。
  • 時間外の速報: アマゾンは、クラウドのAWSは加速したものの、ネット通販の売上げが想定以上に減速し、AI関連を含む設備投資も予想を大きく上回って、時間外で大幅安。インテルは、7〜9月期は20%超の増収で、調整後の1株利益も予想を上回りましたが、10〜12月期の売上高が最大160億ドルにとどまるという慎重な見通しで、一時20%超の下落となりました。
  • 米国のインフレ: 9月のPCE物価指数は前年比3.6%の上昇(8月は3.4%)。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアは3.1%に拡大しました。原油高が背景です。
  • マイクロソフトは、社債発行で250億ドル(約4兆円)を調達(報道)。社債の発行は2017年以来9年ぶりで、資金はAI関連の設備投資に充てる予定。買い注文は募集額の4倍以上でした。
  • 債券・商品: 米10年債利回りは4.9%台に低下。ニューヨーク原油先物は、米国とイランの交渉再開への期待で反落しました。
  • 国内: 高市首相が、ガソリン補助金を12月から段階的に縮小すると表明(基準価格を毎月5円ずつ引き上げる)。一方、電気・ガス料金の支援を12月から3か月間実施します。中部電力は、浜岡原発の耐震データ不正で、来年3月期の最終損益が2,150億円の赤字に転落する見通し(特別損失3,800億円程度)。ANAホールディングスは、AIRDOとソラシドエアの親会社を完全子会社化します(来年4月を目指す)。独フォルクスワーゲンは、7〜9月期に46億ユーロ(約8,000億円)超の最終赤字(ポルシェの減損が響く)となりました。

🕰️ 篠原塾:ドル円の歴史

テレ東系列の経済番組が「日米経済WEEK」(11月8日まで)を実施中で、今日の篠原裕明デスクの解説は「ドル円の歴史」でした。

  • 1871年(明治4年): 円が誕生。金の重さでお金の価値を保証する金本位制で、1円の金の重さを1ドルと同じ1.5gにそろえ、1ドル=1円で始まりました。
  • 1897年: 世界の実勢に合わせ、金の量を半分にして、1ドル=約2円。1930年代以降は、金本位制からの再離脱や軍事費の膨張で円安が進み、1941年に約4円。
  • 1949年: 終戦後のインフレを経て、1ドル=360円の固定レート。当時の実勢は330円前後と計算されていたが、冷戦下で日本を復興させたいアメリカが、輸出を後押しするため少し円安に設定した、という説明でした。
  • 1971年: ベトナム戦争で財政赤字が膨らみ、アメリカがドルと金の交換停止(ニクソンショック)。12月に308円の固定レートとしたが、1973年2月に変動相場制へ。
  • 1985年: プラザ合意。アメリカの輸出産業を助けるため、ニューヨークのプラザホテルで主要国がドル安に誘導すると決めました。前日242円だったドル円は、約2年で120円台に。日本は円高に苦しみ、超低金利政策がバブル経済の一因にもなりました。
  • 1995年に79円75銭、2011年に史上最高値の75円32銭。その後、アベノミクスの異次元緩和と、コロナ後の米国の利上げで円安に。2024年に160円超、今年6月には一時162円台と、約39年半ぶりの円安水準でした。
  • 篠原さんが以前に取材した政府関係者は「円安に対応する政策は、1ドル140円ぐらいを想定している。それ以上は行き過ぎ」と話したそうで、150円台後半は、国にとっても想定を超える水準という見方です。
  • アメリカ側の見方(パックン): アメリカでは、ドル円を気にしている人は1割もいないのでは、とのこと。日本からの輸入は全輸入の6%ほどで、影響は小さいため。いまの円安は、日本旅行の「バーゲンセール」として注目されている、と話しました。

🍔 パックンの眼:牛肉高騰でアメリカのソウルフードに異変

  • アメリカでは、ハンバーガー用のひき肉が1ポンド(約400g)で7ドル超と最高値を更新。5年で約50%の値上がりです。アメリカ人は1人あたり年間約27kgと、世界平均の約4倍の牛肉を食べます。
  • 一方、牛の飼育頭数は1950年以来の低水準。背景には、牛肉産業の複雑さがあります。牛は生まれてから出荷できるまで2〜3年かかり、「牛のジレンマ」があります。頭数を増やそうと、食用の牛を繁殖用に回すと、いったん出荷が減って価格がさらに上がる。逆に、価格が下がると減らす圧力がかかり、供給がさらに減る、という悪循環です。バランスが戻るのは2028年ごろとの見通しもあります。
  • 値上がりしても、アメリカ人は牛肉を食べ続けています。ほかの出費を削ってでも、本物の牛肉を食べたい、ということ。植物由来の代替肉は、2021年をピークに売上が下がっています。
  • 50年間で、ハンバーガーのサイズは約110gから340gへ大きくなり、牛の体重も約50%増えました(アメリカ人も約11kg太った、とパックン)。

🗣️ 番組の最後に

  • 日銀の12月の利上げは、国内要因だけなら、やらない理由はありません。ただ、海外では、AI関連の調整、フランス国債の問題があります。さらに、米国の中間選挙のあとにトランプ氏がイランを再び攻撃すると発言しているので、実際にそうなって市場が混乱すれば、12月に向けて難しい判断を迫られる可能性がある、という話でした(門間さん)。
  • 後藤さんは、欧米は「これまでの利上げの影響を確認するフェーズ」に入っている一方、日銀は利上げ姿勢を強める。来年の春から夏ごろに、円が見直される局面がありうる、と話しました。
  • パックンは、アメリカでは無党派が47%にのぼることについて、「政党ではなく、公約を守る人に投票する流れは健全かもしれない」と話しました。

👦 子どもに伝えるヒント

  • お金の価値は、ずっと同じではない。明治のはじめは1ドル=1円。今は157円。「1ドルのものを買うのに、何円必要か」で、輸入するものの値段も、外国から来る旅行者の数も変わります。
  • 身近なものの値段は、遠くの出来事でも動く。ティッシュや洗剤の値上がりは、中東の情勢や円安とつながっています。
  • 「どうしてだろう?」と考える。ハンバーガーが高い理由は、牛が育つのに2〜3年かかるから。すぐには増やせない、ということです。

この記事は、テレビ番組の内容を個人的に整理したメモです。投資の助言ではありません。

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