【モーサテ早読み】中国の不動産不況は、いつまで続く?「日本化」は避けられるのか(10/19 プロの眼)

10月19日(月)朝の、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」(略称「モーサテ」、番組の公式ページ)の文字起こしから、後半のコーナー「プロの眼」(ゲストは伊藤忠総研の武田淳さん。テーマは「中国の不動産不況は、いつまで続くのか」)を中心にまとめました。そのほかのコーナーは、担当分野ごとに整理しています。

文字起こしの誤りは、文脈と、番組の公式ページ(「解説は〇〇氏」)で確認して直し、末尾の「補正メモ」にまとめました。確度の低いものは、違っているかもしれません。

📌 今日の要点

  • 中国の不動産不況は、「少なくとも2〜3年は調整が続く」、というのが武田さんの見方です。理由は、在庫の多さです。販売に対する在庫の比率は、去年の段階で約5倍(5年分)。目安とされる2019年ごろの3倍近くまで戻すだけでも、今の販売ペースで2年かかります。
  • 不動産の落ち込みは、成長率を直接押し下げるだけでなく、住宅価格の下落で消費者心理が冷える「逆資産効果」を通じて、間接的にも効いています。
  • 「日本のバブル崩壊後のような長期低迷になるか」には、「日本化のリスクは、小さい」と見ています。違いは、日本が急激な融資の引き締めと利上げをしたのに対し、中国は金融緩和を続けていること。貸し渋りや賃金の下落、デフレも、まだ起きていません。
  • ただし、注意点は過剰生産です。今は輸出で圧力を逃がしていますが、それが封じ込められるとデフレになり、長期低迷になる可能性があります。
  • 先週の市場は、AI関連の財務不安で、日経平均が1日で3,300円以上下がる場面もありました。今週は、日米の金融政策とAI投資の行方に、注目が集まります。

🔎 プロの眼:中国の不動産不況は、いつまで続くのか(武田淳さん)

① 不動産不況は、中国の成長にどれだけ効いているか

  • GDPに占める不動産投資の比率は、2021年までは約10%でしたが、去年は約5.4%と、半分ほどに低下しました。
  • それでも、今年7〜8月の不動産投資は、前年比で約3割の減少。これを成長率に当てはめると、約2%ポイントの押し下げになります。関連分野を含めると、影響は約2倍との見方もあります。

② 間接的な影響:「逆資産効果」

  • 中国では、都市部の約7割が持ち家で、家計の資産の約7割が住宅と言われます。住宅価格の動きが、消費者心理に直結しやすい構造です。
  • 手取り所得のうち、消費に使う割合(消費性向)は、コロナ期のアップダウンはあっても、基本的には低下傾向。今年4〜6月期は、前年から1.1%ポイント低下しました。
  • これは、GDPを約0.4%ポイント押し下げる計算です。さらに、不動産関連の業界が悪くなれば、雇用や設備投資も押し下げられます。

③ 住宅価格は、まだ下がるのか

  • 70都市の住宅価格を見ると、北京・上海・広州・深圳の一級都市は、下げ止まっています。しかし、それ以外の二級都市(人口数百万人規模の大都市)は、下がり続けています。
  • 一級都市は、2024〜25年にも、政策の効果で一度下げ止まったことがありました。今回も一時的な下げ止まりの可能性があり、楽観はできない、との見方です。
  • 武田さんは、今後も下がり続けると見ています。

④ 在庫が過剰:悪循環が続いている

  • 住宅の在庫は、2022年をピークに減ってはいます。しかし、それ以上に販売のペースが落ちているため、「販売に対する在庫の比率」は上がっています。去年の段階で、約5倍(在庫が5年分)。
  • 目安になる水準は、不動産規制の強化前の2019年ごろ、約3倍。今の販売量を維持できても、そこまで戻すには約2年かかります。販売がさらに落ちれば、もっと長くなります。
  • だから、少なくとも2〜3年は調整が続く。価格下落と投資の縮小が、悪循環になっている、というのが現状の整理です。

⑤ 中国は「日本化」するのか

比べるところ日本(バブル崩壊後)中国(今)
バブルの発生過剰な金融緩和で、不動産向け融資が拡大同じ
崩壊のきっかけ不動産融資の急速な引き締め(総量規制)と、急激な利上げそこまではやっていない。むしろ緩和している
金融システム不良債権が増え、貸し渋りが起きた貸し渋りは、まだ見られない
物価・賃金賃金が下がり、デフレへデフレではなく、平均賃金も下がっていない

武田さんは、「日本化は、回避できる可能性が高い」と見ています。ただし、最後の注意点があります。今、中国は、過剰生産の圧力を輸出で逃がしています。それが封じ込められると、国内がデフレになり、日本のような長期低迷に入る可能性が出てきます。

📈 前半の市場のおさらい(10/16金曜のNY市場ほか)

項目動き
NYダウ反落。175ドル安(終値は、聞き取りが不確か)
ナスダック572ポイント安の2万6,140
S&P50084ポイント安の7,659
シカゴ日経平均先物先週末の終値は6万3,925円。朝の取引でも、6万3,935円と、下押し圧力が根強い
為替ドル円は158円を挟んだ展開
ニューヨーク原油中東情勢やロシア・ウクライナをめぐるリスクで、1バレル100ドルに達し、株価の重荷に
  • AIを巡る懸念:新興クラウド企業のコアウィーブの株価が、16日に11%下落。過剰な借り入れが指摘され、「他のAI関連企業にも通じる構造的な問題なのか」を見極めたい、という投資家心理から、半導体を中心にハイテク株が下がりました。
  • VIX指数(投資家心理を表す指数)は、7月下旬以来の水準まで上昇。市場は、大きな相場変動に身構えています。

👥 今日のゲストと、担当の分野

ゲスト所属(公式ページで確認)話した分野
武田淳さん伊藤忠総研中国経済(プロの眼)
棚瀬順哉さんJPモルガン・チェース銀行為替(日銀の利上げ期待と円相場)
若山哲志さん東京海上アセットマネジメント日本株(信用売り残高)
鈴木敏之さんグローバルマーケットエコノミストAI革命と金融政策(グローバルアウトルック)
渡邊夏奈さん日本経済新聞 イスタンブール支局長トルコ経済(なるほど・ザ・新興国)

💬 そのほかの解説(担当分野ごと)

為替:棚瀬さん

  • この日のドル円の予想レンジは、157円50銭〜158円50銭。過去数週間は、157〜159円の狭いレンジで、方向感のない動きが続いています。来週の米FOMCと日銀の決定会合を控え、材料が乏しい、という見方です。
  • 円相場と、日銀の利上げ期待の関係が変わった:7月末の日米協調介入より前は、利上げ期待が高まると、むしろ円安が進んでいました(「日銀が後手に回る(ビハインド・ザ・カーブ)」ことへの懸念が強く、円安が加速して、最終的に日銀が利上げを迫られる、という見方)。協調介入のあとは、利上げ期待が高まると、円高につながる形に変わっています。
  • 理由は、アメリカが、為替には介入ではなく、日銀の金融政策の正常化で対処すべきだ、という姿勢を示してきたため。市場が「日銀は利上げを加速せざるを得ない」と見て、ビハインド・ザ・カーブの懸念が後退した、との解釈です。
  • 今後1年は、四半期に1回のペースの利上げを織り込み済み(来年の今ごろには政策金利が約2%)。このとおりに進めば、ドル円は155〜165円のレンジとの見通しです。
  • ただし、織り込みが進んでいるので、日銀が市場の期待ほど利上げできなければ、円が売られるリスクは残ります。前回の決定会合の「7対2」での利上げ決定は、そのリスクを示すものだったとの指摘でした。

日本株:若山さん

  • 日経平均の予想レンジは、6万3,000〜6万4,000円。米国のAI半導体関連株の下落や、マイクロソフトが英国のデータセンター案件から撤退すると報じられたことで、この日は下落を想定。
  • 今日のポイントは、「信用売り残高」。信用売り残高が大きく増えたあとは、日経平均が上昇する傾向があります。信用取引で売った投資家は、最終的に買い戻す必要があるためです。
  • 市場の弱気心理が極限まで高まったときが、相場の底打ち・好転のタイミングになりやすい。金曜時点のデータは、翌週の第2営業日(今週は火曜日)に発表されます。
  • 企業決算が本格化する前の、ポジション調整の動きもあると見ています。日銀短観では、大企業の経常利益の見通しが、大きく上方修正されており、マクロ環境や米中間選挙などの不透明要因が落ち着けば、株価は再び上昇トレンドに入る、との見方でした。

AI革命と金融政策:鈴木さん(グローバルアウトルック)

  • 「AIで生産性が上がれば、インフレが抑えられ、政策金利は低くていい」という議論(ベッセント財務長官の主張と紹介されました)に、鈴木さんは否定的です。
  • 生産性が上がると、潜在成長率が上がり、「自然利子率」(景気に中立な金利)も上がる。つまり、AI革命の前より、政策金利は高めに設定する必要がある、という考え方です。
  • インフレへの影響も、バラッサ=サミュエルソン効果で説明しました。生産性が上がった分野が賃金を上げると、労働力に限りがある中で、生産性が上がっていない分野も賃金を上げざるを得ず、それがインフレの加速要因になる、という説明です。
  • 武田さんは、「AIで生産性が高まった分野は賃金が上がる一方、雇用は抑えられるので、全体では中立」。自然利子率が上がる分だけ、政策金利が上がる可能性はある、との見方でした。
  • 日本への影響:デジタル関連の収支の赤字が増えると、国際収支の面から、円安要因になりうる。また、アメリカは、AIが生み出す価値を、GDP統計にきちんと反映させようとする動きが強い(設備投資統計に、知的財産が入っている)。日本との格差が、より見えやすくなるリスクがある、との指摘でした。

IMF・世銀の総会(タイ・バンコクから)

  • IMFのゲオルギエバ専務理事は、世界経済の底堅さを評価する一方、AIブームへの依存に警鐘を鳴らしました。1997年のアジア通貨危機は、タイが震源地。成長への期待で資金が流入し、不動産が過熱した点が、今のAIブームと重なる、という切り口です。
  • 日銀の植田総裁は、AI関連の需要が「見ていたよりもやや底堅い、と見る人が少し多い」という印象を述べた一方、日銀の経済見通しを変えるような重要な情報はなかった、と説明しました。
  • アメリカのベッセント財務長官は、「日本はもはや長年のデフレ環境にはなく、金融政策も為替も、それに応じて変わる必要がある」と強調。急激で無秩序な為替変動は、世界的な資金調達コストを押し上げかねない、と警告しました。
  • 日銀は、今週23日に金融システムレポートを公表。月末には、金融政策決定会合を控えています。

トルコ経済:渡邊さん(なるほど・ザ・新興国)

  • エルドアノミクスとは、「金利を下げれば物価も下がる」という、エルドアン大統領独自の経済理論に基づく経済政策。2021〜23年に、インフレ下で利下げをし、さらなるインフレを招きました。インフレ率は、2024年5月に75.5%でピーク。
  • その後、正統派エコノミストとされるシムシェキ財務相が、インフレ対策の旗振り役に。政策金利を段階的に引き上げ、インフレ率は、9月に29.7%まで下がりました。
  • ただ、インフレ率の下がり方は、最近は小さくなっています。2026年末の見通しは29.6%(年初は30.7%)。消費者の1年後のインフレ予想は、4割台で、中央銀行の目標(2027年末に1.5%)とは、大きくかけ離れています(インフレ期待が下がらない)。
  • 生活への影響:ランチは、庶民的な食堂でも500〜600リラ(約2,000円)。一方、最低賃金は、手取りで月約2万8,000リラ(約9万円)。牛肉やチーズが買えない、という声も。市が運営する格安食堂が、連日行列になっています。
  • 株式市場でも、先月、流動性ショックが起きました。売りたくても買い手がいない状態で、指数が急落。過去の低金利下で、政府が企業に株式市場での調達を推奨した歪みが、背景にあるとの見方でした。
  • 今後の焦点は、トルコが2028年までに大統領選を行うこと。早期選挙の可能性もあり、ばらまきや緩和的な金融政策で、問題が先送りされないかがポイントです。

モーサテ・サーベイ(出演者の予想)

  • 日経平均の10月23日(金)終値の予想は、中央値で6万4,800円。先週末の終値から、約520円低い水準です。
  • 予想の幅は、最も低い人で6万2,000円(アメリカの半導体株の下落が、日本のAI関連の筆頭格に波及と見る)、最も高い人で6万6,800円(半導体株の下落で割安感が強まり、後半は買い戻しが進む、と見る)。出演者の氏名は、聞き取りが不確かなため、書いていません。
  • ドル円(今週末の終値)の予想は、中央値で158円ちょうど。

財政について(武田さん・棚瀬さん、番組の最後)

  • 日本:金融政策ばかり注目されているが、これから予算編成が本格化する中で、財政政策も修正されるか(景気成長による税収増に頼るだけでなく、無駄な歳出の削減も議論されるか)に注目。IMFの会合でも、片山財務大臣の発言がありましたが、具体策が出てくることを期待、とのコメントでした。
  • アメリカ:中間選挙まで、あと2週間。民主党が優勢で、上下両院を押さえるとの見方もあります。チェック&バランス機能が強まり、財政拡張に歯止めがかかるという見方がある一方、民主党の主張する政策も、歳出を伴うものが多く、両方向のリスクがあり、非常に不透明、との話でした。

📰 そのほかのニュース(抜粋)

項目内容
日銀・植田総裁(16日)物価上昇率が、これ以上上がることは容認できない、と発言。経済・物価情勢に応じて、政策金利を引き上げ、緩和の度合いを調整していく
FRB議長今月のFOMCの見通しについて、予断を持って考えることはできない、と述べるにとどめた
米国の財政収支2026会計年度は、約1兆9,900億ドルの赤字。2021年以来、5年ぶりの高水準。医療・社会保障費が2兆ドルを突破し、国債の利払いも過去最高
IMF欧州各国に、債務問題に早急に対応するよう呼びかけ。構造改革で成長を促しつつ、支出を圧縮し、財政赤字を対GDP比で約3.5%削減すべき、としている
ホワイトハウス新しい報道官が、就任から5日で、事実上の解任。経歴詐称の疑惑が報じられていた
フランス物価高や教育環境の改善を求める大規模デモ(17日、推計5.5万人)の一部が暴徒化。内務省は、2,400人を拘束、警察官約1,000人が負傷したと発表。マクロン大統領は、暴力行為を非難
横浜市長選パワハラ問題で辞職した前市長の出直し選で、新人で弁護士の原沢敦美氏が、前市長の山中竹春氏らを破り、初当選
今週の予定19日:中国の7〜9月期GDP、9月の鉱工業生産など。20〜21日:米ネットフリックス、GM、テスラ、メタなどの決算。21日:日本の9月の貿易統計、訪日客数。22日:ディスコの決算。23日:日本の9月の全国CPI、日米欧の10月のPMI
中国のGDP(市場予想)前年比4.3%。政府の成長目標(4.5〜5%)を、2四半期連続で下回る見通し。今年の年間成長率は、この数字を前提に計算すると4.6%程度で、目標の下限ギリギリ(10〜12月期の動き次第)
天気この日は、広い範囲で雨。激しく降るところも。沖縄は、台風30号の影響で、22日ごろから荒れる恐れ

🖼 番組の図と出典

放送画面の写真は、まだ追加していません。写真が届いたら、図ごとに「出所(画面の表記)」と「放送画面を撮影」を載せます。この日の放送で、図が出たのは、次の場面です(出所は、写真で確認します)。

  • 為替:日銀の利上げ期待(1年先1年の金利)と、ドル円の関係のチャート
  • 株:信用売り残高と、日経平均株価の動き
  • プロの眼:中国の、不動産投資・消費性向・70都市の住宅価格・在庫と在庫販売比率のチャート
  • グローバルアウトルック:AI革命と、金融政策(自然利子率・インフレ)の経路の図

📝 文字起こしの補正メモ

文字起こし直した表記確度注記
武田さん(プロの眼)伊藤忠総研の武田淳さん高公式ページで確認
田瀬さん/花瀬さん/田さんJPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉さん高公式ページで確認
和歌山さん東京海上アセットマネジメントの若山哲志さん高公式ページで確認
鈴木敏行さん鈴木敏之さん高公式ページでは「鈴木敏之氏」
渡辺かなさん渡邊夏奈さん高公式ページで確認
原沢厚み氏/全市長の山中武治原沢敦美氏/山中竹春氏高(原沢)/中(山中)公式ページで、「原沢敦美氏」。山中氏の名は、文字起こしの「竹春」に近い表記を採用
上田総裁植田総裁高
別セント/別線/ブラウン財務時間ベッセント財務長官高文脈から。「ブラウン」は、聞き間違いの可能性が高い
申し議長/欧州議長/防止議長/ゴシさんFRB議長中氏名は、確定できないので、書かない
7月末の日米協調会議/強調会議日米協調介入中文脈から。前週の番組でも「日米協調介入」と呼ばれていた
ビハインドザカーブビハインド・ザ・カーブ(後手に回ること)高
コアミーム/コアウェーブコアウィーブ(CoreWeave)中新興のクラウド事業者
ビックス指数VIX指数高
バラスタメンソン効果バラッサ=サミュエルソン効果高
自然施設率/自然数/自然理士率自然利子率高
デジタル収集デジタル収支中
SIM初期財務大臣シムシェキ財務相高「欧米の投資銀行で勤務経験がある、正統派エコノミスト」という説明と一致
トルコの政策金利「年3.7%」約37%の可能性低「年50%まで上げて、インフレに合わせて利下げ」という流れから、桁が崩れている可能性。記事には数字を書いていない
消費者の1年後のインフレ予想「4。5.6%」4割台(45.6%の可能性)低桁が崩れている。記事には「4割台」と書いた
国債の利払い「前年度比およそ1。2%」不明低「12%」とも聞こえ、確定できない。記事には、金額を書かず「過去最高」とだけ書いた
NYダウの終値「5万20002ドル」不明低桁が崩れている。「175ドル安」だけを書いた
日経平均「6万5000円で終わる局面」6万5,000円台(先週末の終値は、約6万5,320円と推定)低サーベイの「中央値6万4,800円は、先週末の終値より約520円低い」という説明から計算
ホワイトハウスの「ザカリア報道感」報道官(氏名は不確か)低氏名は、書かない

※この記事は、番組の内容を、自分の言葉でまとめたものです。数字や人名は、文字起こしからの推測を含みます。投資の助言ではありません。

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